火と花の狭間に 第四章「二度目の夜」|第三の黒幕と揺らぐ信頼、朱音と蒼介が掴んだ新たな真実
火と花の狭間に 第四章 二度目の夜 約束の夜が来た。 朱音は今度、水桶を持たなかった。 持っていく必要がなかった。蒼介が陣の外周に、朱音だけが気づけるしるしを残しておくと言っていた。杉の木の根元に、白い小石を三つ並べる。そこから十歩、真東へ進めば、番兵の巡回が重な...
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火と花の狭間に 第四章 二度目の夜 約束の夜が来た。 朱音は今度、水桶を持たなかった。 持っていく必要がなかった。蒼介が陣の外周に、朱音だけが気づけるしるしを残しておくと言っていた。杉の木の根元に、白い小石を三つ並べる。そこから十歩、真東へ進めば、番兵の巡回が重な...
火と花の狭間に 第三章 父の書斎 霞廻の朝は、霧から始まる。 盆地に抱かれたこの藩は、夜が明けてもしばらくは白い帳の中にある。朱音は子供の頃、その霧を嫌いだった。視界が閉じて、世界が狭くなる気がした。しかし父は「霞廻の霧は、この藩を守っている」と言った。「霧の中では、...
火と花の狭間に 第二章 幕舎の夜 返す言葉が、なかった。 朱音はふつう、沈黙を武器にする。黙っていれば相手は喋る。喋れば隙が生まれる。それが父の教えだった。しかし蒼介の「悲しそうだった」という表情の前では、その計算がどこかへ消えてしまった。 「捕らえるか」と朱...
火と花の狭間に 第一章 霞の中の密使 夜霧が濃かった。 朱音は杉林の縁に身を潜め、眼下に広がる敵陣をじっと見つめた。篝火が点々と並び、その橙色の揺らめきが、霞廻の山々を照らしている。あの光の数だけ、槍がある。あの光の数だけ、自分を殺すつもりの男たちがいる。 怖くな...
【無料】ギター練習用にメトロノームを自作してみた|初心者がリズム感を鍛えるためのシンプルツール 最近ギターの練習を続けています。 コードチェンジやストロークの練習はしていたものの、実はこれまで一度もメトロノームを使ったことがありませんでした。 「なんとなく弾けて...

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火と花の狭間に 第七章 父と娘 夜が明けた。 霞廻に朝が来るとき、まず山の稜線が白くなる。次に鳥が鳴く。それから、砦の炊事場から煙が上がる。朱音は子供の頃から、その順番が好きだった。何が来ても、翌朝は同じ順番で始まる。それが、この藩に生まれたことの数少ない、確かなもの...
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